- マルチクラウド案件はSES市場で前年比35%増と急成長中
- AWS+Azure併用型が最も多く、全マルチクラウド案件の約45%を占める
- マルチクラウドスキルを持つエンジニアの年収は700〜1,000万円レンジ
「AWS案件の経験はあるけど、最近Azureも求められることが増えた」「マルチクラウドって具体的にどんなスキルが必要なの?」
2026年のSES市場では、単一クラウドだけでなく複数のクラウドを横断する案件が急速に増加しています。企業のベンダーロックイン回避意識の高まりと、各クラウドの強みを活かしたアーキテクチャ設計のニーズが背景にあります。
この記事では、SESマルチクラウド案件の実態から、必要なスキル・資格、年収レンジまで最新データに基づいて解説します。
- マルチクラウド案件が増加する背景
- 3つの典型的なマルチクラウド案件パターン
- 年収・単価レンジの最新データ
- 必要な資格とスキルセット
- 案件獲得のポイント
マルチクラウド案件がSES市場で増加する背景

企業のベンダーロックイン回避戦略
2024〜2025年にかけて発生した大手クラウドの長時間障害を契機に、単一クラウドへの依存リスクを見直す企業が急増しました。特に金融・医療・官公庁など、高可用性が求められる業界では、マルチクラウド採用が標準的な選択肢になりつつあります。
企業がマルチクラウドを採用する主な理由は以下の通りです。
- 可用性の向上: 1つのクラウドが障害を起こしても、別クラウドでサービスを継続
- コスト最適化: サービスごとに最もコストパフォーマンスが良いクラウドを選択
- 規制対応: データ主権やコンプライアンス要件への対応
- ベストオブブリード: 各クラウドの最も優れたサービスを組み合わせる
2026年のマルチクラウド採用率データ
Flexeraの「State of the Cloud Report 2026」によると、日本企業の72%が2つ以上のパブリッククラウドを利用しており、前年の63%から大幅に増加しています。
特にSES市場への影響が大きいのは、マルチクラウド環境を設計・構築・運用できるエンジニアの需要が急増している点です。SES BASEのデータでも、「マルチクラウド」をスキル要件に含む案件は前年比35%増となっています。
SESマルチクラウド案件の典型パターン
AWS + Azure併用型
最も多いパターンで、全マルチクラウド案件の約45%を占めます。
- 典型例: AWSをメインの本番環境、AzureをActive Directory連携・Office 365統合に使用
- 求められるスキル: AWS VPC/EC2/RDS + Azure AD/Azure Functions + IAM設計
- 月単価: 75〜95万円
このパターンは、Microsoft製品をバックオフィスで利用している企業でよく見られます。エンタープライズ系の大規模プロジェクトが多く、SESエンジニアにとっては安定した長期案件になりやすい特徴があります。
GCP(BigQuery)+ AWS基盤型
データ分析にGCPのBigQueryを活用し、アプリケーション基盤はAWSで運用するパターンです。
- 典型例: AWSのECS/Fargateでアプリケーションを運用、BigQueryでデータウェアハウスを構築
- 求められるスキル: AWS基盤構築 + BigQuery/Dataflow + ETLパイプライン設計
- 月単価: 80〜100万円
データ分析基盤の需要が高まる中、このパターンは今後さらに増加すると予想されます。BigQueryの圧倒的なクエリ性能とコストパフォーマンスが採用の決め手になるケースが多いです。
ハイブリッドクラウド(オンプレ+クラウド)型
既存のオンプレミス環境を維持しながら、段階的にクラウドへ移行するパターンです。
- 典型例: 基幹系システムはオンプレで維持、新規サービスはAWS/Azure上に構築
- 求められるスキル: VPN/Direct Connect設計 + ネットワーク設計 + マイグレーション計画
- 月単価: 85〜110万円
このパターンは金融・製造業の大規模プロジェクトで多く、期間も1年以上の長期案件が中心です。
マルチクラウドSES案件の年収・単価レンジ
マルチクラウドスキルを持つSESエンジニアの単価は、単一クラウドスキルのみのエンジニアと比較して明確な差があります。
| スキル | 平均月単価 | 年収換算 |
|---|---|---|
| 単一クラウド(AWS/Azure/GCP) | 65〜80万円 | 550〜700万円 |
| 2クラウド以上の実務経験 | 80〜95万円 | 700〜850万円 |
| マルチクラウドアーキテクチャ設計 | 90〜110万円 | 850〜1,000万円 |
マルチクラウド設計ができるエンジニアは、単一クラウドのみのエンジニアと比較して月単価で20〜30万円のプレミアムが付きます。
必要な資格とスキルセット
クラウドベンダー資格の組み合わせ戦略
マルチクラウド案件を狙うなら、メインクラウドの上位資格+サブクラウドの基礎資格の組み合わせが効率的です。
おすすめの資格組み合わせ
| パターン | メイン資格 | サブ資格 |
|---|---|---|
| AWS主軸 | AWS Solutions Architect Professional | AZ-305(Azure Solutions Architect) |
| Azure主軸 | AZ-305 | AWS SAA(Solutions Architect Associate) |
| データ分析軸 | AWS SAP + Professional Data Engineer | Google Cloud Professional Data Engineer |
重要なのは、資格取得が目的ではなく、実務で使えるスキルの証明手段として活用することです。面談の場で、資格だけでなく実際のプロジェクト経験とセットでアピールしましょう。
IaC(Terraform / CDK)の重要性
マルチクラウド案件で特に重視されるのが、Infrastructure as Code(IaC)のスキルです。
特にTerraformは、AWS・Azure・GCPすべてに対応するマルチクラウドIaCツールとして、案件要件に含まれる頻度が非常に高いです。
- Terraform: マルチクラウド対応のデファクトスタンダード。HCL言語で統一的にインフラを管理
- AWS CDK: AWS特化のIaCツール。TypeScript/Pythonで記述でき、AWS案件では需要が高い
- Pulumi: TypeScript/Python/Goで書けるマルチクラウドIaC。Terraformの代替として注目度上昇中
出典: Flexera「State of the Cloud Report 2026」によると、マルチクラウド環境の管理にIaCツールを使用している企業は全体の78%に達しています。
マルチクラウド案件を獲得するためのポイント
マルチクラウド案件を獲得するためには、以下のポイントを押さえましょう。
- まずは1つのクラウドで深い実務経験を積む: AWSかAzureがおすすめ
- 2つ目のクラウドは資格取得+個人プロジェクトで経験を作る: ハンズオンで実機を触る
- Terraformの習得は必須: マルチクラウドの共通言語として
- ネットワーク設計スキルを強化する: クラウド間接続(VPN/ピアリング等)の知識
- スキルシートに具体的なクラウド構成図を添付する: 視覚的にアピール
特に効果的なのは、個人プロジェクトでマルチクラウド構成を実際に構築し、その経験をポートフォリオにすることです。Terraform + AWS + GCPでシンプルなWebアプリを構築するだけでも、十分なアピール材料になります。
まとめ:マルチクラウドスキルで差別化する
2026年のSES市場において、マルチクラウドスキルは確実に差別化要因となるスキルです。
アクションプラン
- メインクラウドの実務経験を深める(まだの方はAWSから)
- サブクラウドの基礎資格を取得する
- Terraformでマルチクラウド構成を構築してみる
- SES BASEでマルチクラウド案件の要件をチェックする
クラウド市場は今後も拡大を続けます。マルチクラウドスキルは、将来にわたって市場価値を維持できる堅実な投資です。
SES BASEでは、マルチクラウド案件も検索できます。SES BASEで最新の案件動向をチェックしましょう。
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