- SESのメリットは「多様な経験」「未経験OK」「安定性」の3つ
- デメリットは「マージン」「現場ガチャ」「帰属意識の欠如」が主
- デメリットの多くは「企業選び」と「キャリア戦略」で回避可能
結論:SESは「企業選び」で9割決まります。デメリットの多くは優良企業を選ぶことで回避可能です。
「SESはやめとけ」「SESはブラック」――ネット上にはネガティブな情報が溢れていますが、IT人材のうちSES(客先常駐)で働くエンジニアは約40%。日本のIT業界を支える主要な働き方であり、正しく活用すればキャリアの強力なステップになります。
この記事では、SES業界で採用・営業を経験した立場から、メリット7つ・デメリット7つを本音で解説します。「やめとけ」の真相と、デメリットを回避する具体策もお伝えします。
- SESで働く7つのメリット
- SESで働く7つのデメリット
- デメリットを回避・軽減する具体的な方法
- SESが向いている人・向いていない人
- 「良いSES企業」の見分け方
SESの基本的な仕組みについては「SESとは?仕組みをわかりやすく解説」を先にお読みください。
SESで働く7つのメリット
メリット1:多様な現場で幅広い経験が積める
SESの最大のメリットは、複数の現場で多様な技術・業界の経験を積めることです。自社開発企業では1つのプロダクトに縛られますが、SESなら金融、製造、EC、官公庁など、さまざまな業界のシステムに携われます。
具体例:
- 1年目:ECサイトのバックエンド開発(PHP/Laravel)
- 2年目:金融系システムのAPI開発(Java/Spring Boot)
- 3年目:SaaS企業のフロントエンド開発(React/TypeScript)
3年間で3つの業界・3つの技術スタックの経験が積めるのは、SESならではの強みです。
メリット2:未経験・経験が浅くてもスタートできる
SES企業は、未経験者や経験の浅いエンジニアを積極的に採用しています。プログラミングスクール卒や独学からIT業界に入る際の最も現実的なルートです。
メリット3:収入が安定している
SESエンジニアは正社員として雇用されているため、案件の合間(待機期間)でも給与が支払われます。フリーランスのように案件が途切れたら収入ゼロ、ということはありません。
メリット4:社会保険・福利厚生がある
正社員として雇用されるため、以下の社会保障を受けられます。
- 健康保険(会社が半額負担)
- 厚生年金(会社が半額負担)
- 雇用保険
- 労災保険
- 有給休暇
- 産休・育休
フリーランスと比較した場合のメリットについては「SESとフリーランスの違いを徹底比較」を参考にしてください。
メリット5:営業活動が不要
案件の獲得はSES企業の営業が行うため、エンジニアは技術に集中できます。フリーランスのように自分で営業・契約・請求を行う必要がありません。
メリット6:大手企業で働ける
SES経由であれば、通常の転職では入れないような大手企業やメガバンク、官公庁のプロジェクトに参画できることがあります。
メリット7:人間関係がリセットできる
現場の人間関係が合わない場合でも、案件が変わればリセットできます。自社開発企業のように同じメンバーと何年も一緒に働くストレスがありません。

SESで働く7つのデメリット
デメリット1:マージンが高く、年収が抑えられる
SES企業のマージン率は25〜45%が一般的です。月単価70万円の案件に入っていても、手取りは35〜50万円。自分の市場価値に対して給与が低いと感じるエンジニアは少なくありません。
回避策: 高還元SES企業(還元率70〜85%)を選ぶ。単価が開示されている企業を選ぶことで、マージンの不透明さを解消できます。
デメリット2:現場ガチャ(配属先を選べない)
希望と異なる技術・業界・場所に配属される「現場ガチャ」は、SESエンジニアの最大のストレス要因です。
回避策: 案件選択権のあるSES企業を選ぶ。面談前に案件内容を確認し、自分で参画可否を判断できる企業が増えています。
デメリット3:帰属意識が持ちにくい
常駐先の社員でもなく、自社にもほとんど出社しない。「どこにも居場所がない」 という孤立感を抱えるエンジニアは多いです。
回避策: 社員交流の活発なSES企業を選ぶ。帰社日や勉強会を定期的に開催している企業であれば、仲間との繋がりを感じられます。
デメリット4:キャリアパスが不透明
SES企業では、「いつまでも客先常駐を続けるのか」というキャリアの先行きが見えにくい傾向があります。
回避策: キャリア支援制度のある企業を選ぶ。1on1面談やキャリアプランの策定を行っている企業もあります。
デメリット5:スキルが偏る・浅くなるリスク
現場ごとに異なる技術を使うため、「広く浅い」スキルになりがち。逆に、同じ現場に長期間いると、一つの技術に偏るリスクもあります。
回避策: 自主学習の習慣を持つ。案件の技術だけでなく、市場価値の高い技術(クラウド、AI、セキュリティなど)を自分で学び続けることが重要です。
デメリット6:単価や評価が不透明
自分の月額単価がいくらなのか、クライアントからどう評価されているのかがわからない企業も存在します。
回避策: 単価を開示しているSES企業を選ぶ。定期的なフィードバック面談がある企業であれば、自分の評価を把握できます。
デメリット7:多重下請け構造に巻き込まれるリスク
エンドクライアントとの間に複数の企業が入る「多重下請け」構造では、マージンが何重にも取られ、エンジニアの手取りが大幅に減ります。
回避策: 商流が浅い(プライムまたはセカンダリー)案件が多い企業を選ぶ。「2次請けまで」を原則としている企業もあります。
メリット・デメリットの比較まとめ
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 多様な現場経験 | マージンが高い |
| 未経験OKで入りやすい | 現場ガチャ |
| 収入が安定 | 帰属意識が薄い |
| 社会保険・福利厚生 | キャリアパスが不透明 |
| 営業不要 | スキルが偏る/浅くなる |
| 大手企業で働ける | 評価が不透明 |
| 人間関係リセット | 多重下請けリスク |
デメリットの多くは「SES企業の選び方」で回避できます。「SES = ブラック」ではなく「ブラックなSES企業を選んでしまうとデメリットが大きくなる」が正確な表現です。
SESが向いている人・向いていない人
SESが向いている人
- 未経験からIT業界に入りたい人:最も入りやすいルート
- いろいろな技術・業界を経験したい人:案件ごとに新しい環境
- 安定した収入が欲しい人:正社員としての安定性
- 営業や契約交渉が苦手な人:会社が代行してくれる
- キャリアの方向性を模索中の人:複数の現場を経験して自分の適性を見つけられる
SESが向いていない人
- 一つのプロダクトに深く関わりたい人 → 自社開発企業がおすすめ
- チームの一員としての帰属意識を重視する人 → 自社開発 or 社内SE
- 年収を最大化したい人 → フリーランス
- リモートワークを必須とする人 → フルリモート可能な自社開発
- マネジメントキャリアを早期に歩みたい人 → SIer or 自社開発
「良いSES企業」の見分け方
良いSES企業の5つの条件
| チェックポイント | 良い企業 | 注意が必要な企業 |
|---|---|---|
| 還元率 | 70%以上を明示 | 非開示 or 60%未満 |
| 単価開示 | 自分の単価がわかる | 教えてもらえない |
| 案件選択権 | 面談前に案件内容を確認・選択できる | 言われた現場に行くだけ |
| 研修・スキルアップ支援 | 資格取得支援・勉強会あり | 研修なし・自費 |
| エンジニアの定着率 | 3年以上の在籍者が多い | 離職率が高い |
ブラックSES企業を避けるための詳しいポイントは「SESブラック企業の特徴10選」で解説しています。
良いSES企業の具体的な探し方は「優良SES企業の見つけ方」を参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
まとめ:SESは「使い方次第」で最強のキャリアステップになる
- SESには「多様な経験」「安定性」「未経験OK」の大きなメリットがある
- デメリットは「マージン」「現場ガチャ」「帰属意識」が主だが、企業選びで回避可能
- 「SES = ブラック」ではなく「企業選びで9割が決まる」
- 良いSES企業のチェックポイントは還元率・単価開示・案件選択権の3つ
- SESをキャリアのステップとして戦略的に活用するのが最も賢い選択
SESは、正しい企業を選び、戦略的にキャリアを設計すれば、エンジニアとしての成長を加速させる最高の環境になります。まずは自分のスキルに合った案件や、還元率の高い企業を探すことから始めましょう。
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