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SES偽装請負の見分け方と判断基準【2026年法改正対応】

SES偽装請負の見分け方と判断基準【2026年法改正対応】

SES偽装請負法改正2026年
目次
⚡ 3秒でわかる!この記事のポイント
  • 偽装請負の判断基準は「指揮命令権の所在」「労務管理の実態」の2点が最重要
  • 2026年のフリーランス保護法本格運用で、SES契約への行政指導が強化される見込み
  • 証拠保全と通報フローを事前に把握しておくことがエンジニアの自衛策になる

「今の常駐先、もしかして偽装請負かも?」——SESエンジニアとして働いていて、そんな不安を感じたことはありませんか?

結論から言うと、SES契約における偽装請負は2026年現在も業界全体で根深い問題です。しかし、判断基準とチェックポイントを知っておけば、自分の働き方がグレーゾーンに入っていないか確認でき、適切な対処が可能になります。

この記事では、偽装請負の判断基準、2026年の法改正の影響、そしてエンジニアとしての自衛策を実務的な視点で解説します。

この記事でわかること
  • SES契約と偽装請負の法的な境界線
  • 偽装請負を判断する具体的なチェックリスト
  • 2026年の法改正がSES契約に与える影響
  • 偽装請負に遭った場合の具体的な対処法

SES契約と偽装請負の基本を理解する

SES(準委任契約)の法的位置づけ

SES契約は、民法上の準委任契約に基づいています。準委任契約の最大の特徴は、「成果物の完成」ではなく**「業務の遂行」**に対して報酬が発生する点です。

SES契約のポイントを整理すると以下の通りです。

項目SES(準委任契約)派遣契約請負契約
指揮命令権自社(SES企業)派遣先企業受注側企業
成果物責任なし(善管注意義務)なしあり
労務管理自社(SES企業)派遣先企業受注側企業
報酬の対象業務遂行労働時間成果物

重要なのは、SES契約では指揮命令権は自社(SES企業)に残るという点です。常駐先のクライアントがエンジニアに直接業務指示を出す場合、それは契約の範囲を逸脱している可能性があります。

偽装請負とは何か?派遣との違い

偽装請負とは、形式上はSES(準委任契約)や請負契約でありながら、実態としては労働者派遣に該当する状態を指します。

具体的には、クライアント企業がSESエンジニアに対して以下のような行為を行っている場合、偽装請負と判断される可能性があります。

  • 業務内容の具体的な指示(何を・いつまでに・どのように)
  • 勤怠管理(出退勤時刻の指定・管理)
  • 残業の指示
  • 服装や勤務場所の細かい指定

厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)がその判断の根拠となります。

偽装請負の判断基準チェックリスト

自分の働き方が偽装請負に該当するかどうか、以下のチェックリストで確認してみましょう。

SES偽装請負チェックリスト

指揮監督権の所在(直接指示を受けていないか)

チェックポイント:

  • ☐ 常駐先のマネージャーやリーダーから直接タスクを割り振られる
  • ☐ 作業の進め方(手順・方法)について常駐先から具体的に指示される
  • ☐ 常駐先の朝会やスプリントレビューで進捗報告を求められる
  • ☐ 作業の優先順位を常駐先の判断で変更される

これらに2つ以上該当する場合は要注意です。SES契約では、タスクの割り振りや進捗管理は原則として自社(SES企業)を通じて行われるべきです。

ただし、現実的には開発チームの一員として常駐先と直接コミュニケーションを取ることは業務効率上必要な場面も多くあります。SES常駐先でのコミュニケーションガイドでも解説していますが、「技術的な相談」と「業務指示」の境界線を意識することが重要です。

労務管理の実態(勤怠・残業を誰が管理しているか)

チェックポイント:

  • ☐ 出退勤時刻を常駐先のシステムで打刻している
  • ☐ 残業を常駐先の上長に申請している
  • ☐ 有給休暇の取得に常駐先の承認が必要
  • ☐ 常駐先の就業規則に従うよう求められている

労務管理が常駐先主導で行われている場合、実態としては派遣に近い状態と判断されます。SES契約では、勤怠管理は自社の責任で行い、常駐先には結果を共有する形が適切です。

一人常駐のリスクと対策

SESの「一人常駐」は偽装請負のリスクが特に高い形態です。

一人で常駐する場合、自社からの指揮命令を受ける体制が物理的に取りにくく、必然的に常駐先の指示に従う形になりやすいためです。SESブラック企業の見分け方でも指摘していますが、一人常駐を常態化させている企業には注意が必要です。

一人常駐時のリスク軽減策:

  • 自社の営業担当との定期面談(最低月1回)を確保する
  • 業務指示は自社を経由する運用ルールを契約時に明確にする
  • 作業報告書は自社向けと常駐先向けを分けて作成する

2026年の法改正がSES契約に与える影響

フリーランス保護法(取適法)の本格運用

2024年11月に施行された特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(通称:フリーランス保護法)が、2026年に入り本格的な運用フェーズに移行しています。

この法律はフリーランスとして業務委託を受ける個人事業主が主な対象ですが、SES業界にも大きな影響があります。

  • 取引条件の明示義務: 業務内容、報酬、支払期日を書面で明示する義務
  • 報酬の支払期日: 60日以内の支払いが義務化
  • ハラスメント対策: 委託先に対するパワハラ・セクハラの防止義務

労働基準法改正と「名ばかり委託」防止

2026年の労働基準法改正では、「名ばかり業務委託」の防止が強化されています。形式上は業務委託でありながら実態として雇用関係にある場合、労働基準法の適用対象として行政指導の対象となります。

具体的な判断基準として、以下のポイントが重視されます。

  • 業務遂行の裁量が実質的にあるか
  • 報酬が時間単位で計算されていないか
  • 特定の発注者への経済的従属性が高くないか

行政指導・罰則の強化ポイント

2026年の主な変更点は以下の通りです。

  • 立入検査の強化: IT業界(SES含む)を重点監査業種に指定
  • 罰則の引き上げ: 偽装請負と判断された場合の行政処分が厳格化
  • 通報者保護: 内部通報した労働者への不利益取扱いの禁止を明確化

偽装請負を見抜く5つのサイン

契約書と現場の乖離を確認する方法

以下の5つのサインがあれば、偽装請負の可能性が高いと言えます。

  1. 契約書に記載された業務内容と実際の作業が大きく異なる
  2. 常駐先から直接「残業してほしい」と言われる
  3. 自社の営業担当と3ヶ月以上連絡が取れていない
  4. 常駐先の組織図に自分の名前が記載されている
  5. 常駐先の名刺を持たされている

特に4と5は、形式的にも常駐先の従業員として扱われていることを示す強い証拠になります。

エンジニアが取るべき証拠保全のポイント

万が一のために、以下の記録を日常的に保全しておきましょう。

  • メール・チャットの記録: 常駐先からの直接指示が確認できるやり取り
  • 勤怠記録のコピー: 常駐先と自社、両方の打刻記録
  • 業務指示の記録: 誰から・いつ・どのような指示を受けたかのメモ
  • 契約書のコピー: 自分が従事している契約の内容

SES契約テンプレートガイドも参考にして、契約書の内容を正確に理解しておくことが重要です。

偽装請負に遭った場合の対処法

社内相談・労基署への通報フロー

偽装請負の疑いがある場合、以下の手順で対処しましょう。

ステップ1:自社(SES企業)への相談 まずは自社の営業担当やコンプライアンス部門に現状を報告します。多くの場合、契約内容の見直しや常駐先との交渉で改善されます。

ステップ2:外部相談窓口の利用 自社が対応しない場合は、以下の窓口に相談できます。

  • 都道府県労働局の需給調整事業課: 偽装請負の専門窓口
  • 総合労働相談コーナー: 全国の労働基準監督署に設置
  • 法テラス: 無料の法律相談

ステップ3:労働基準監督署への申告 是正されない場合は、労働基準監督署に正式に申告できます。申告者は法律で保護されており、申告を理由とした不利益な取扱いは禁止されています。

転職・契約解除の判断基準

以下の場合は、転職や契約解除を検討すべきです。

  • 自社に相談しても改善の兆しがない
  • 自社自体が偽装請負を意図的に行っている
  • 精神的・身体的な負担が大きい

SES vs 派遣 比較の記事も参考に、自分に合った働き方を見直してみましょう。正規の派遣契約に切り替えることで、労働者としての権利がより明確に保護されます。

まとめ:自分の働き方を守るために知っておくべきこと

偽装請負は、エンジニアの権利を侵害する違法行為です。2026年の法改正により行政の監視も強化されていますが、最も重要なのはエンジニア自身が判断基準を知っておくことです。

  • 指揮命令権と労務管理の実態を定期的にチェックする
  • 証拠になりうる記録を日常的に保全しておく
  • 不安を感じたら、まず自社に相談し、改善されなければ外部窓口を利用する

SES BASE では、契約形態が明確で信頼できる企業の案件を掲載しています。安心して働ける環境を見つけるためにも、ぜひご活用ください。

参考文献: 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)

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SES BASE 編集長

SES業界歴10年以上のメンバーが在籍する編集チーム。SES企業での営業・エンジニア経験、フリーランス独立経験を持つメンバーが、業界のリアルな情報をお届けします。

📊 業界データに基づく記事制作 🔍 IPA・経済産業省データ参照 💼 SES実務経験者が執筆・監修