SES企業に所属していると、定期的に1on1面談の機会があります。しかし、「毎回同じような雑談で終わってしまう」「何を話せばいいか分からない」「面談があっても何も変わらない」と感じているエンジニアは少なくありません。
結論として、1on1面談はSESエンジニアがキャリアを自分でコントロールするための最も強力なツールです。準備と活用法次第で、案件変更・単価交渉・スキルアップのすべてを前進させることができます。本記事では、SESの1on1面談を「ただの定例」から「キャリアを動かす場」に変えるための具体的な方法を解説します。

SESの1on1面談が形骸化しやすい3つの理由
SESの1on1面談が機能しない理由には、業界特有の構造的な問題があります。
1. 営業担当がエンジニアの業務を理解していない
SES企業の営業担当は、多くのエンジニアを同時に担当しています。あなたが今どんな技術を使い、どんな課題に直面しているかを正確に把握している営業担当は少数派です。結果として「最近どうですか?」「困ったことありませんか?」という表面的なヒアリングに終始しがちです。
2. エンジニア側の準備不足
面談で何を話したいのか、事前に整理できていないケースが多いです。「特に問題ありません」と答えてしまうと、営業担当も深掘りしにくく、5分で終わる形式的な面談になってしまいます。
3. フィードバックループが機能していない
面談で要望を伝えても、その後のアクションや結果が共有されない。これが繰り返されると「言っても意味がない」と感じ、エンジニア側が面談自体を諦めるという悪循環に陥ります。
1on1面談の基本についてはSESの1on1面談ガイドでも解説しています。
面談前にやるべき準備チェックリスト
1on1面談の価値は準備で8割決まると言っても過言ではありません。以下のチェックリストを面談の1〜2日前に確認しましょう。
自分の状況を棚卸しする
- 現在の案件の満足度(技術・人間関係・働き方のそれぞれ)を1〜10で自己採点
- 直近3ヶ月で身につけたスキルをリストアップ
- 今後伸ばしたいスキルと、そのために必要な案件の条件を整理
- 不満・改善要望があれば具体的に言語化(曖昧な不満は伝わらない)
面談で話すトピックを3つ絞る
面談時間は通常30分〜1時間です。話したいことが多すぎると散漫になります。以下の優先順位で3つに絞りましょう。
- 最も重要な要望(案件変更、単価交渉、働き方の変更など)
- キャリアの方向性(1年後・3年後にどうなりたいか)
- 情報収集(市場動向、社内の案件状況など)
数字・事実を用意する
「頑張っています」ではなく、定量的な成果を用意しましょう。
- 「リリースを3件リードした」
- 「障害対応時間を平均2時間から30分に短縮した」
- 「チーム内で新メンバーのオンボーディングを2名担当した」
キャリアの方向性を伝える具体的なフレーズ集
1on1面談で最も大切なのは、自分のキャリアの意思を明確に伝えることです。以下に、シーン別の具体的なフレーズを紹介します。
スキルアップを希望する場合
- 「次の案件では○○(技術名)を使える環境を希望しています。現在の案件でも自主学習は進めていますが、実務経験を積みたいです」
- 「今の案件は安定していて良いのですが、成長の観点で少し停滞感を感じています。チャレンジングな案件に移れるタイミングを相談したいです」
ポジションアップを目指す場合
- 「リーダー経験を積みたいと考えています。小規模でもチームリードのポジションがある案件はありますか?」
- 「設計フェーズから関われる案件を希望しています。上流工程の経験を増やしてキャリアの幅を広げたいです」
現状維持を希望する場合
- 「現在の案件に満足しています。契約更新の見通しと、更新する場合の条件面について確認させてください」
案件変更・単価交渉を切り出すタイミングと伝え方
案件変更のベストタイミング
- 契約更新の2〜3ヶ月前: 新案件の探索に時間的余裕がある
- 四半期の変わり目: 企業の予算サイクルに合わせやすい
- 大きな成果を出した直後: 交渉力が最も高い
単価交渉の伝え方
単価交渉は「お金の話」と捉えるとハードルが高く感じますが、市場価値の適正化という文脈で伝えれば自然です。
- 「現在の単価について相談があります。同スキル・同経験年数のSES市場相場を調べたところ、○万円程度が標準でした。現状との差分について是正をお願いしたいです」
- 「次回の契約更新に向けて、直近半年の成果と市場相場を踏まえた単価の見直しを提案させてください」
具体的な交渉テクニックはSES単価交渉のコツで詳しく解説しています。
面談後にやるべきアクション
面談が終わった後のフォローアップが、次回以降の面談の質を左右します。
1. 面談内容をメモにまとめる(当日中)
- 話した内容の要点
- 営業担当のリアクション・回答
- 約束されたアクション(「案件を探します」「上に相談します」等)
- 次回面談までの期限
2. 約束の進捗を確認する(1〜2週間後)
面談で何かアクションを約束してもらった場合、1〜2週間後にフォローメールを送りましょう。「先日の面談で相談した○○の件、その後の進捗はいかがでしょうか?」と一言送るだけで、営業担当の行動が大きく変わります。
3. 次回面談の準備を始める
面談直後が最も「次に何を話すか」が明確なタイミングです。簡単なメモでもいいので、次回の面談で話したいことを書き留めておきましょう。
良い営業担当の見極めポイント
1on1面談の質は、営業担当の力量にも大きく左右されます。良い営業担当の特徴を知っておくと、自社内での担当変更の判断材料になります。
良い営業担当の特徴:
- 技術トレンドの基本を理解している(コンテナ、クラウド等のキーワードが通じる)
- 面談の内容を記録し、前回の続きから話を始められる
- 約束したアクションの結果を必ず報告してくれる
- エンジニアの市場価値を正しく理解し、適切な案件を提案できる
- 単価交渉をエンジニアの味方として推進してくれる
要注意な営業担当の特徴:
- 毎回「最近どうですか?」から始まる(前回の内容を覚えていない)
- 案件変更を相談しても「今は難しい」で終わる
- エンジニアの技術的な要望を理解しようとしない
- 単価交渉を嫌がる、または先延ばしにする
営業担当との関係構築についてはSES常駐先でのコミュニケーション術も参考になります。
もし現在のSES企業に不満がある場合は、SESから社内SEへの転職ガイドも選択肢として検討してみてください。
まとめ
SESの1on1面談は、受け身で参加すれば形骸化し、能動的に準備すればキャリアを動かすエンジンになります。
- 面談の準備は1〜2日前から。話すトピックを3つに絞り、数字で裏付ける
- キャリアの意思は具体的なフレーズで伝える。曖昧な表現は避ける
- 面談後のフォローアップが最も重要。約束の進捗確認を忘れない
- 営業担当の力量も見極め、必要に応じて担当変更も検討する
「面談で何を話せばいいか分からない」という方は、まず本記事のチェックリストを埋めるところから始めてみてください。小さな準備の積み重ねが、半年後・1年後のキャリアを大きく変えます。
SES BASEでは、エンジニアのキャリアアップに役立つ情報を日々発信しています。 案件検索やキャリア相談はSES BASEをご活用ください。
出典: リクルートワークス研究所「1on1ミーティングの効果と課題」