「繰り返しの開発作業を自動化したいけど、スクリプトを書くのも手間がかかる」——開発現場で日々繰り返される定型作業に頭を悩ませているエンジニアは多いのではないでしょうか。
Google Antigravityのカスタムワークフロー機能を使えば、「Issue起票から実装・テスト・PR作成」までの開発プロセスを一気通貫で自動化できます。 Agent Managerによるタスク分解と並列実行、Artifact駆動の開発フローにより、人間は「何をやるか」を決めるだけで、「どうやるか」はAntigravityが自動で処理します。
この記事では、カスタムワークフローの設計パターンから実装手順、CI/CDパイプラインとの統合方法まで実践的に解説します。
この記事を3秒でまとめると
- AntigravityのAgent Managerで複雑なタスクを自動分解・並列実行できる
- コードレビュー→修正→テストやIssue→PR作成を一気通貫で自動化可能
- GitHub Actions・Cloud Buildとの統合でCI/CDパイプラインに組み込める
Antigravityのワークフロー自動化とは
Agent Managerによるタスク分解と並列実行
Google AntigravityのAgent Managerは、大きなタスクを小さなサブタスクに自動分解し、複数のエージェントに並列で割り当てる機能です。
例えば「新しいAPIエンドポイントを3つ追加して」という指示に対して、Agent Managerは以下のように動作します。
- タスク分解: 3つのエンドポイントそれぞれを独立したサブタスクに分割
- 依存関係の分析: 共通のモデル定義やミドルウェアが必要かを判断
- 並列実行: 独立したタスクは同時に処理、依存があるタスクは順序を調整
- 結果の統合: 全サブタスクの成果物をマージし、整合性をチェック
この仕組みにより、単純な順次処理と比べて2〜5倍の速度向上が見込めます。
Artifact駆動の開発フロー
Antigravityの「Artifact」は、エージェントが生成した中間成果物(コード・設計書・テスト結果等)を構造化して管理する仕組みです。
各Artifactには以下のメタデータが付与されます。
- 種類: code / document / test / config
- ステータス: draft / review / approved / deployed
- 依存関係: 他のArtifactとの関連
- 履歴: 変更履歴とバージョン
ワークフロー内の各ステップは、前のステップが出力したArtifactを入力として受け取ります。これにより、ステップ間のデータ受け渡しが自動化され、人間が手動で橋渡しする必要がなくなります。

カスタムワークフローの設計パターン
パターン①: コードレビュー → 修正 → テスト自動化
最もよく使われるパターンです。PRが作成されたら自動でレビュー→修正→テストを回します。
# .antigravity/workflows/auto-review.yaml
name: auto-code-review
trigger:
event: pull_request
action: opened
steps:
- name: code-review
agent: reviewer
input: "PRの差分を分析し、以下の観点でレビューしてください: セキュリティ、パフォーマンス、可読性、テストカバレッジ"
output: review-comments
- name: auto-fix
agent: implementer
input: "レビューコメントに基づいてコードを修正してください"
depends_on: code-review
condition: "review-comments.severity >= 'warning'"
output: fixed-code
- name: run-tests
agent: tester
input: "修正後のコードに対してテストを実行し、カバレッジレポートを生成してください"
depends_on: auto-fix
output: test-results
このワークフローにより、PRの作成からレビュー・修正・テスト確認までが全自動で完了します。人間はレビュー結果と修正内容を確認するだけです。
パターン②: Issue起票 → 実装 → PR作成の一気通貫
GitHubのIssueが作成されたら、自動的に実装してPRを作成するワークフローです。
name: issue-to-pr
trigger:
event: issue
action: labeled
label: "auto-implement"
steps:
- name: analyze-issue
agent: planner
input: "Issueの要件を分析し、実装計画を策定してください"
output: implementation-plan
- name: implement
agent: implementer
input: "実装計画に基づいてコードを書いてください"
depends_on: analyze-issue
output: code-changes
- name: write-tests
agent: tester
input: "実装されたコードのユニットテストを生成してください"
depends_on: implement
output: test-code
- name: create-pr
agent: integrator
input: "コード変更とテストをまとめてPRを作成してください"
depends_on: [implement, write-tests]
output: pull-request
チームのバグ修正フローに組み込めば、単純なバグはIssueにラベルを付けるだけで自動的にPRまで作成されます。
パターン③: ドキュメント生成 → 翻訳 → 公開
APIドキュメントの生成から多言語翻訳、公開までを自動化するパターンです。
name: doc-generation
trigger:
event: push
branch: main
paths: ["src/api/**"]
steps:
- name: generate-docs
agent: documenter
input: "変更されたAPIのドキュメントをOpenAPI形式で生成してください"
output: api-docs
- name: translate-en
agent: translator
input: "ドキュメントを英語に翻訳してください"
depends_on: generate-docs
output: docs-en
- name: translate-zh
agent: translator
input: "ドキュメントを中国語に翻訳してください"
depends_on: generate-docs
output: docs-zh
- name: publish
agent: deployer
input: "日本語・英語・中国語のドキュメントをドキュメントサイトにデプロイしてください"
depends_on: [generate-docs, translate-en, translate-zh]
翻訳ステップは並列実行されるため、3言語でも追加の待ち時間はほとんどありません。
ワークフロー構築の実装手順
ステップ1: エージェント設定ファイルの作成
まず、ワークフローで使用するエージェントを定義します。
# .antigravity/agents.yaml
agents:
reviewer:
role: "シニアエンジニアとしてコードレビューを行う"
model: gemini-2.5-pro
tools: [read_file, search_code, comment]
implementer:
role: "実装担当エンジニアとしてコードを書く"
model: gemini-2.5-pro
tools: [read_file, write_file, run_command]
tester:
role: "QAエンジニアとしてテストを書き実行する"
model: gemini-2.5-flash
tools: [read_file, write_file, run_command]
planner:
role: "テックリードとして実装計画を策定する"
model: gemini-2.5-pro
tools: [read_file, search_code]
各エージェントに適切なモデルを割り当てることで、コストを最適化できます。テストエージェントにはFlashモデルを使うなど、タスクの複雑度に応じた選択がポイントです。
ステップ2: トリガー条件の定義
ワークフローのトリガーは複数の条件を組み合わせられます。
trigger:
event: push
branch: main
paths:
include: ["src/**", "tests/**"]
exclude: ["src/**/*.md", "*.config.*"]
schedule: "0 9 * * 1-5" # 平日9時の定期実行も可能
ステップ3: Artifact出力フォーマットの指定
各ステップの出力フォーマットを明示的に指定することで、ステップ間の連携精度が向上します。
steps:
- name: analyze
output:
format: markdown
schema:
sections: ["概要", "影響範囲", "実装手順", "リスク"]
save_to: ".antigravity/artifacts/analysis.md"
CI/CDパイプラインとの統合
GitHub Actions連携
Antigravityのワークフローは、GitHub Actionsから直接呼び出せます。
# .github/workflows/antigravity.yml
name: Antigravity Auto Review
on:
pull_request:
types: [opened, synchronize]
jobs:
review:
runs-on: ubuntu-latest
steps:
- uses: actions/checkout@v4
- uses: google/antigravity-action@v2
with:
workflow: auto-review
google_api_key: ${{ secrets.GOOGLE_API_KEY }}
Cloud Build連携
Google Cloud Build との連携も簡単です。
# cloudbuild.yaml
steps:
- name: 'gcr.io/google-antigravity/cli:latest'
args: ['workflow', 'run', 'auto-review']
env:
- 'GOOGLE_API_KEY=$_GOOGLE_API_KEY'
Google Cloud公式ドキュメントでもCI/CDとAIツールの統合パターンが解説されています。
運用のベストプラクティスとコスト管理
ワークフロー自動化を運用する際のベストプラクティスを紹介します。
パフォーマンス最適化:
- 並列実行可能なステップは
depends_onを分離して並列化する - 大きなリポジトリでは
pathsフィルターで不要なトリガーを減らす - キャッシュ機能を活用して同一コードベースの再分析を防ぐ
コスト管理:
- 各ワークフローに日次・月次の実行回数上限を設定する
- タスクの複雑度に応じてFlash / Proモデルを使い分ける
- 不要なワークフローは無効化し、必要時のみ有効にする
セキュリティ:
- エージェントの権限(tools)は必要最小限に設定
- シークレットはGoogle Secret Manager経由で管理
- ワークフローの実行ログを監査用に保存する
運用監視:
- ワークフローの成功率・実行時間・コストをダッシュボードで可視化
- 失敗時の自動リトライ回数は最大3回に制限する
- 異常なコスト増加時にはSlack通知を設定する
まとめ — 繰り返し作業はエージェントに任せる
Antigravityのカスタムワークフロー自動化によって実現できることを振り返ります。
- コードレビュー→修正→テストの自動化で、レビューの待ち時間を大幅削減
- Issue→実装→PR作成の一気通貫で、単純なバグ修正を完全自動化
- ドキュメント→翻訳→公開の自動化で、ドキュメントの鮮度を常に保つ
- CI/CDパイプライン統合で、既存のワークフローにシームレスに組み込める
SES案件でもCI/CD自動化のスキルは高く評価されます。Antigravityのワークフロー構築経験は、DevOpsエンジニアとしてのキャリアアップに直結するスキルです。
まずは一つ、最もよく繰り返している作業を洗い出し、それをワークフローとして定義するところから始めてみてください。
SES BASEでは、DevOps・CI/CD関連の案件も多数掲載しています。
関連記事: